「翻訳力」=「語彙力」=「辞書量」
英語を日本語に翻訳するには、「英語力」が必要です。
って、そんなの当たり前ですよね。
ただ、英単語、熟語、文法をすべて頭に入れておかなければならないかと言えば、そんなことはありません。
よく、プロの翻訳者になるには、「TOEIC 900 点以上」とか「英検 1 級取得者が望ましい」といったことが言われていますが、それは必要十分条件ではありません。
翻訳会社採用時のボーダーラインとして一定の基準が設けられている場合はありますが、世界中に翻訳会社はたくさんあります。
つまり、CV (履歴書) に胸を張って記載できるほど高レベルな語学関係の資格を取得していなくても、採用してくれるところはたくさんあります。
ある程度の英語力が身に付いていれば、あとは不足している知識や情報を「辞書」の力で補強すればいいとも言えます。
翻訳のトレーニングから実際のジョブまで、多くの辞書を検索する習慣を身に付けておけば、自然に自分の頭の中に用語ベースができ、翻訳力の向上につながります。
ピンポイントの翻訳を最短時間で見つけ出すために、多くの辞書を登録することから始めましょう。
無料辞書から始めよう
あなたの家にも必ずある、「英和辞典」や「和英辞典」。
学生時代に購入した紙ベースの辞書でも、1 冊 5,000 円程度はかかります。
それが、オンラインで使用する辞書となると、10,000 円超えは当たり前。
専門用語の辞書になると、3 万~ 5 万円かかるものも珍しくはありません。
そのため、いきなり高額な辞書を買いそろえる必要はありません。
オンラインであれば、無料の辞書が充実しています。
プロの翻訳者でも使える、無料辞書(有料版もあり)を以下に紹介します。
Weblio 英和辞典・和英辞典
まずは、検索したい英単語を入力すれば、検索結果上位に入ってくる無料辞書「Weblio 辞書」を紹介します。
私は、英単語の意味を調べるとき、手持ちの辞書だけでなく裏取りのためオンライン検索もするようにしているのですが、Webllio の掲載語句には、有料の名だたる辞書にも掲載されていない意味が出ていることがあり、「これだ!」と光明が見えることも何度もありました。
オンラインで用語収集しているためか、使える語句や用法が数多く掲載されているのが特徴です。
英辞郎 on the WEB
外国語学習の大手企業「アルク」が監修する辞書。
英単語の検索をはじめ、コーパス(言語データベース)として活用することが可能です。
多くの用法・文例が掲載されているので、文脈から適切な単語・語句の意味を見つけることができます。
無料の Web 版だけでも十分使えますが、有料の Pro 版 (年額税抜 3,300 円)を購入すると、もっと多くの用法・文例を活用することができ、仕事でかなり役立ちます。
私も Pro 版を愛用しています。
あまり長い文節を入力すると「該当なし」になってしまいますが、ある程度単語数を絞って入力すると、さまざまな活用が掲載されているので、その中から適切な表現を選択すればいいですよ。
英辞郎には、買い切りの CD-ROM 版もあります。
こちらはオフラインでも使用できるため、ご購入される方は以下のリンクからどうぞ。
英辞郎 CD-ROM 版はこちら
Linguee
ドイツの企業が開発した、言語向け人工知能による訳文検索エンジン。
同社では、「Google 翻訳」を超える翻訳能力であると評価が高まっている「DeepL」も開発しており、2020 年以降は日本語にも対応しています。
日常表現から専門表現まで、膨大な言語ビッグデータを解析して構築されたデータベースのため、かなりマニアックな表現を入力しても検索結果が導き出されます。
Microsoft Language Portal
言わずと知れた IT 界の巨人、マイクロソフト。
このサイトでは、マイクロソフト製品で使用される用語や語句が掲載されています。
そのため、IT 関係の文章を翻訳するときには、他社の文言であっても参考になる翻訳や言い回しが多く掲載されています。
私は、IT 関係の翻訳を専業でやっているため、このサイトは常に開いた状態で、少しでもあいまいな表現が出てくると検索しています。
マイクロソフトが用いる表現は、他社の文章に当てはめても十分使えるので、このサイトは本当にお勧めです。
Reverso
最後に紹介するのが「Reverso」です。
Reverso は、単語や熟語の翻訳だけでなく、文章の文脈に合わせた翻訳や文法チェック、同意語などを確認できるアプリです。
少し長めの文脈を入力した場合も、その内容に類似した検索結果が表示されるため、とても使い勝手がいいアプリです。
プロとして辞書を使いこなすなら有料版がオススメ!
ここまで、無料版の辞書を紹介してきましたが、いかがでしょうか。
正直なところ、私は日常の翻訳業務では最後の2つのアプリを使う場合が多くなっています。
無料版でもかなりカバーできるのですが、本格的な内容になると「これでいいのかな?」と感じてしまう翻訳しかヒットしなくなります。
やはり、プロの翻訳者は有料版を準備しておいた方がいいと思います。
日常の翻訳業務であれば、無料版でもなんとかなってしまいますが、もしもの時に責任を問われるのは翻訳者です。
責任をもって翻訳結果を提出できるように、無料版も有料版も使いこなせるようにしておくといいでしょう。
オススメの有料版については、改めて紹介しますね。